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抗生物質と多剤耐性菌2


前回、多剤耐性菌を作らないために一番重要なのが、自己判断で勝手に薬を飲んだり止めたりしない事であり、自分の為だけではなく大切な人の為に、また未来の為にというお話をしましたが、その理由を今回お話します。
ここではまた例をあげ説明させていただきます。単純に抗生物質を「熱いお風呂」に、細菌を「人間」に置き換えてみます。とても熱くて普通の人が入れないお風呂があっても1000人に1人位は短時間なら大丈夫という人がいるかもしれません。またそのお湯に最初は1分だけ、そのあと2分、3分と慣らしていけば入れる人も増えていくかもしれません。つまり、これが生き物の環境に対する順応というもので、もともとその抗生物質に少し強いタイプの菌がいて、その種族や私たちが処方されたお薬を短時間しか飲まないことや、逆に長く飲みすぎる事によって、その薬に慣れた種族の菌が増えてくるということもあるのです。その種族が耐性菌と呼ばれるものと考えるとわかりやすいかと思います。そういう菌が徐々に色々なタイプの抗生物質に対応していき、多くの薬が効かなくなったものが多剤耐性菌と呼ばれているものなのです。この菌が他に移ったりする可能性もあり、家族や子供さん(お孫さん)、病気で体の弱っている方などに感染した場合、薬が効かないのですから、おのずと肺炎などによって命を落とすなど、最近報道されている通りなのです。
それを防ぐ為にも今後の抗生物質の使い方については慎重でなければなりません。お医者さんはそのことも考えた上で抗生物質を決められた日数だけ処方しているのですから、皆さんはきちんとそれを守って服用する必要があります。
現在、厚生労働省では多剤耐性菌の対策として、60年前に日本の福島県の土壌細菌の中から発見された抗生物質のコリスチンを復活させる方針を決め、英グラクソ・スミスクライン社が臨床研究を行っている様です。
薬剤の使用方法だけが多剤耐性菌の出現の原因ではないのですが、子供たちの将来のことを考えると、出来るだけ耐性菌を作らないように私たちも考え、実行する必要があると思います。
2011年02月03日(木) No.462 (原口先生(薬剤師)のコラム)

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