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イソフラボンの摂取が乳がんのリスクを減少させる?


前回は食べ物の中でも特に脂肪を取り上げてお話ししましたが、外来では他にもいろいろ食品に関しての質問を受けることがあります。そんな中から2つほど…。
近年健康志向の高まりがいろいろな方面に見られ、その波は清涼飲料業界にも押し寄せています。
社会実情データ図録
(http://www2.ttcn.ne.jp) にある、清涼飲料の生産推移を示したデータでは、ここ10年間における緑茶飲料の生産量増加が顕著です。緑茶の主な成分であるカテキンには血中コレステロールの低下、抗菌・抗ウイルス作用など多くの有益な作用があると言われており、乳がん細胞の増殖を抑制する効果もあるという研究報告もあります。しかし、複数の疫学的調査結果を検討してみても、緑茶の摂取と乳がんのリスクとの間には明確な関連が見いだされず、結論は持ち越されたままです。
この緑茶と同じような結論が大豆イソフラボンでも言われています。乳がんのがん細胞は女性ホルモンの一つであるエストロゲンの作用を受けて増殖する可能性があると言われており、実際このエストロゲンとがん細胞の結合を阻害する(ブロックする)薬物(タモキシフェン)が、乳がん術後の薬物治療に用いられております。実は大豆イソフラボンはこのタモキシフェンに似た化学構造をしているのです。このため、大豆イソフラボンの摂取が乳がんを予防するのではないかと、その効果が期待されているのですが、残念ながらいまだ結論は出されておりません。
一方、化学構造がタモキシフェンに似ていると言うことは、実はエストロゲンにも似ていると言うことになります。実際イソフラボンは「植物エストロゲン」とも呼ばれているそうで。ということは、イソフラボンを多量に摂取することで乳がんの発病リスクが高くなるのではないかという心配も当然出てきます。が、こちらについても特に乳がん発病リスクが高くなるということは証明されていません。
『緑茶の摂取や大豆食品、イソフラボンの摂取が乳がんのリスクを減少させるかどうかは結論付けられない。』しかし夏は冷たく、冬には暖かく飲むお茶は、いろんな意味でリフレッシュに大いに役立ちますし、大豆は良質のタンパク源として重要な食品の一つです。
「過ぎたるはなお及ばざるが如し」の教えよろしく、適量摂取を心がけましょう。
2010年03月04日(木) No.407 (芝木先生(外科)のコラム)

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