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肥満が乳がんのリスクが増加する可能性


「日本人の食の欧米化」が言われて久しく、この結果乳がんは大腸がん同様その罹患率がアップしている悪性疾患の一つとして認識されています。で、「食の欧米化」の象徴といえばいろいろあるとは思いますが、やはり「脂肪摂取率の上昇」もその一つと考えられます。脂肪摂取と乳がんのリスクについては、アルコールと同様、日本と欧米とではその検討結果には差があるようです。純粋な日本人(この場合は人種として)での検討では有意な関連は見いだされなかったようですが、欧米での検討では、閉経前女性においては結論得ずとされながらも、閉経後女性においては脂肪の(過剰)摂取が乳がんリスクを増加させる可能性があると判断されました。
 では、体に脂肪が付きすぎた状態、すなわち肥満はどうかというと、国立がんセンターのホームページ
(http://epi.ncc.go.jp/can_prev/)に示されているように、日本人では「閉経後女性において、肥満は乳がんのリスクを確実に増加させる」が「閉経前女性における肥満が乳がんのリスクに及ぼす影響はデータ不十分(≒結論できない)」です。海外では閉経後女性に関しては日本と同じですが、閉経前女性に関しては、そのリスクを(むしろ!)『恐らく減少させる』とされています。閉経前女性には妊娠・出産・育児など男性以上に多大なエネルギーの蓄え(=脂肪)が必要とされるのでしょう。ただし、そのエネルギーは適切に消費されなくてはいけません。育児が一段落した女性こそ、ダイエットに、エクササイズに取り組んではいかがでしょうか。ただ、極端なダイエットにより脂肪摂取率を極度に減らすと、がん予防効果があることが知られている脂溶性栄養素の吸収力にも影響が出ることが言われており、むしろ摂取する脂肪の種類や質にもじゅうぶん留意する必要があるのは想像に難くありません。
以上、ややこしい話になりましたが、近年の食生活の変化や、それに伴う乳がん罹患率の上昇を勘案すると、
『閉経後女性では総脂肪摂取の増加が乳がんのリスクを増加させる可能性がある。しかし、閉経前女性では結論付けられない。』そして、『閉経前女性では肥満が乳がんのリスクを減少させることはほぼ確実である一方、閉経後女性では肥満が乳がんのリスクを増加させることは確実である。』わけです。
2010年02月04日(木) No.401 (芝木先生(外科)のコラム)

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