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喫煙により乳がんリスクが増加する可能性


今回から6回にわたって、私が今、力を入れて取り組んでいる乳がんの、特に疫学的な点から予防に寄与するであろうヒントを述べていきたいと思います。当院の乳腺専門外来で、来院された方々から受けた問いの中で、上位のものを取り上げていきますが、このような問いに対する回答は、実は日本乳癌学会が作っている『科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン〜5疫学・予防編』に網羅されています。当然ながら到底6回では語り尽くせないのですが、これを契機に、皆さんご自身が少しでも乳がんという疾患に対し前向きに考えていただけるようにと願っております。
初回は、生活習慣、その中でも特に喫煙と乳がん発病リスクの関連について述べます。最近道行く車をふと見ると、喫煙しながら車のハンドルを握る女性が多くなったような気がします。厚生労働省のホームページ
(http://www.health-net.or.jp/tobacco/)の統計では、男性の喫煙率は年々減少していますが、女性のそれは年齢層により異なるものの、ほぼ横ばいから微増にあり、けっしてそれが気のせいでないことを教えてくれます。さらにその中で特筆すべきは20代から40代では明らかに増加傾向にあることです。
2006年に厚労省研究班が複数の日本人での疫学研究をまとめて検討した結果では、喫煙は乳癌発病のリスクを高める可能性があると結論しています。喫煙の発がんへの影響が即効性でないことは想像に難くないのですが、40代〜50代に乳がん罹患率のピークがあることを考えると、20〜30代からの継続された喫煙の影響が40〜50代で出て来るというシナリオもあながち間違ってはいないのかもしれません。また、逆に禁煙をすると、その時点からの乳がん発病リスクが低下するという報告もあることから、乳がんが心配だけれども、たばこがやめられない方は(もちろん、心配はないけれど、という人も)、医療機関の禁煙外来やニコチンパッチなどの種々の方法・ツールがある今日、是非とも禁煙にチャレンジするべきだと思います。
ということで、『喫煙により乳がんリスクが増加する可能性がある。』今回のポイントです。
2009年12月03日(木) No.389 (芝木先生(外科)のコラム)

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