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老年病から抗加齢(アンチエイジング)医学への展開④


動脈硬化を引き起こす原因として、危険因子(リスクファクター)があります。これまで報告されている危険因子には200以上の項目があります。これらの危険因子が多くなるほど動脈硬化が進むので、ひとつでも減らすことが大切となります。今回から、自分の努力で減らすことができる危険因子について紹介いたします。
〈肥満〉
肥満とは、脂肪組織が過剰に蓄積した身体の状態をいいます。「過体重」とは異なり、あくまで「過脂肪」が問題となります。「肥満」は健康長寿の上で危険因子になり、これは予防医療の対象となります。「肥満症」は、肥満により健康障害を起こす場合や、その可能性が予想される場合、「病気」として医療における治療の対象となります。肥満の判定には体内脂肪量を測定します。最近、一般家庭でも、インピーダンス法(身体に微弱な電流を流し、その抵抗によって体脂肪率を推計する方法)を用いた体重計によって体脂肪率を測定できるようになっていますが、測定条件によりかなりの差もあり、まだ問題があります。簡単に体脂肪量の精密な測定を行うことは、難しいのが現状です。
体重は一日で変動します。一般的には朝起きてトイレに行った後で朝食前の体重が最小であり、夕食直後に最重になります。体重測定のポイントは、決まった時間の朝食直前に素足で軽い下着をつけて行うことです。
現在、肥満の判定には身長と体重から算出される体格指数(BMI)を使います。
「BMI=体重(㎏)÷身長(m)の2乗」正常は18.5〜25であり、理想体重はBMI22とされています。BMI25以上を肥満として判定します。
脂肪は身体のどの部位に付くかによって、内臓脂肪と皮下脂肪に分けられます。同じ体重でも、皮下脂肪が多い人と、腹部の内臓周囲に多くの脂肪が付いている人がいることがわかってきました。内臓脂肪型肥満では、高血圧・糖尿病・高脂血症の発病率が高くなります。ヘソの高さでの腹囲が男性85㎝、女性90㎝以上であれば、内臓脂肪型肥満の可能性が大きいとされています。
内臓脂肪が過度に蓄積されると、脂肪細胞から分泌される各種の生理活性物質の分泌異常がおこり、血糖を調節するホルモンであるインシュリンの効きが悪くなり、血中インシュリンが増加し、動脈硬化が進む事がわかってきました。
日本人における動脈硬化症の危険因子と肥満についての報告があります。女性では危険因子の重要度から、1位年齢、2位最高血圧、3位BMIと、肥満が3位に位置しています。男性では1位年齢、2位悪玉コレステロール(LDH)、3位最高血圧、4位総コレステロール、5位糖尿病、6位BMIと、肥満は6位に位置しています。男女によって異なりますが、肥満の動脈硬化への影響度がわかります。
次回は食事・運動・ストレス・タバコ等の危険因子について紹介いたします。
2009年09月03日(木) No.371 (森本先生(外科)のコラム)

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