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老年病から抗加齢(アンチエイジング)医学への展開


平成12年4月から市町村を保険者とする社会保険制度である介護保険制度が施行されました。この保険は3年毎に改正され日本で急速に進行する高齢化に対応するものです。平成12年4月は私が院長に就任した年であり、私自身の仕事も徐々に介護保険関係に携わる時間が増加しています。
現在、私は外科、血管外科医として日々手術を行っていますが、当院は介護療養病床(120床)医療療養病床(12床)を有しており、主治医として老年病と向き合っています。
老年病とは、高齢者に多発し高齢者に特有な疾患の総称です。老年病の成り立ちには老化が密接に関与しています。老化は遺伝因子と環境因子の2つの要因によりコントロール(制御)されており、老年病の成り立ちにも2つの因子が大きいと考えられています。
老化の程度は個人差が大きいものでありその個人差の要因も徐々に解明されています。
抗加齢(アンチエイジング)医学という新しい分野があります。1992年に米国抗加齢医学会が結成されています。人類共通の願いである健康長寿を目指す抗加齢医学は世界中で認知され、現在抗加齢医学の躍動期といえます。日本にも2001年日本抗加齢医学会が結成され、会員数は徐々に増加しております。
「健康長寿を目指す医学」「元気で長寿を享受することを目指す理論的・実践的科学」と抗加齢医学は定義されています。老化(エイジング)とは1962年ストレーラーが提唱した4つに定義されています。
①普遍性…全生物に存在するもので必然的に生じる
②内在性…寿命は同一種において一定、遺伝的に決定されている
③進行性…老化は不可逆、後戻りしない
④有害性…全ての機能は低下し、有害性の蓄積によって死を迎える。
抗加齢医学として目指しているのは④の有害性をできるだけ先送りすることです。今後、患者にとって病気を治すというマイナスの医療から、健康の保持・生活の質の向上を目指し人間らしい生き方を全うさせるプラスの医療の実現に主眼がおかれています。今回の予防医学コラムでは、私の専門の血管外科(脈管)から抗加齢(アンチエイジング)医学を紹介しますのでよろしくお願いいたします。

2009年06月04日(木) No.354 (森本先生(外科)のコラム)

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